第750回 獣医学研究科談話会 のご案内【2017.2.22 後藤 剛 先生】(2017.02.09更新)
演題 | 食品由来成分による脂肪細胞機能調節とその作用機構 |
---|---|
演者 | 後藤 剛 先生 |
所属 | 京都大学大学院・農学研究科、京都大学・学際融合教育研究センター |
日時 | 平成29年2月22日(水)16:00-17:00 |
場所 | 北海道大学 大学院獣医学研究科 第一講義室 |
共催 | 日本生化学会・北海道支部 |
概要 |
過栄養・運動不足に起因する肥満および肥満に伴うメタボリックシンドロームは世界的な健康問題であり、肥満の新たな予防・改善策の創出は急務の課題である。肥満は脂肪組織の過剰蓄積状態と定義されるが、脂肪組織は白色脂肪組織と褐色脂肪組織に大別される。白色脂肪組織は余剰エネルギーを中性脂肪として貯蔵し、エネルギー枯渇時には脂肪酸をエネルギー基質として全身に再供給する組織である。一方で褐色脂肪組織は高い熱産生能と脂肪酸異化能を有し、体温維持に重要な役割を担っているものと考えられている。両脂肪組織は肥満や肥満に伴う代謝異常症の発症と深く関与している。
肥満状態の白色脂肪組織では、白色脂肪細胞の肥大化が認められるとともに、マクロファージに代表される免疫細胞の浸潤によって慢性炎症状態が惹起されている。肥満状態の脂肪組織における慢性炎症状態は、脂肪細胞機能異常を来し、肥満に伴う生活習慣病の発症と深く関連することが示されており、白色脂肪組織の機能調節機構・因子の解明は、肥満の病態発症調節に寄与しうると考えられる。
褐色脂肪組織は、褐色脂肪細胞のミトコンドリア内膜上に存在するプロトンチャネル、脱共役たん白質(UCP1)の機能によって高い熱産生能を有する。近年、ヒト成人においても機能的な褐色脂肪組織が存在すること、褐色脂肪組織の活性が肥満度およびエネルギー消費量と相関することが示され、褐色脂肪組織が肥満症対策における新たな標的組織として注目を浴びている。
我々の研究室では、食品の有する生体調節機能(三次機能)に着目し、食品由来成分による脂肪細胞機能調節を介した、肥満に伴う代謝異常症の予防・改善の可能性について検討を行ってきた。本発表では、食品由来成分による脂肪細胞機能調節とその作用機構について、我々が行ってきた研究結果について中心に紹介したい。
|
連絡先 |
北海道大学 大学院獣医学研究科 生化学教室
木村 和弘(011-706-5204)
岡松 優子(011-706-5205)
|
関連資料
2017.2.22-Dr.Gotoh_poster.pdf(53KB)