講演会のお知らせ【2017.6.8 田井中 一貴 先生】(2017.05.15更新)
演題 | CUBIC: 生体組織透明化による包括的3次元イメージング技術 |
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演者 | 田井中 一貴 先生 |
所属 | 新潟大学脳研究所 システム脳病態学 特任教授 |
日時 | 平成29年6月8日 16:00から |
場所 | 北大遺伝子病制御研究所5階セミナー室 |
主催 | 北海道大学遺伝子病制御研究所大学院医学研究科 分子神経免疫学分野 教授 村上正晃 |
共催 | 日本生化学会・北海道支部 |
概要 | 生体における生理機能は、組織中の個々の細胞の活動、及びそれらがネットワークを形成して振る舞うシステム的な活動により制御されている。従って、個体全身に存在するそれぞれの細胞を一細胞解像度で包括的に捉える技術が望まれている。我々はこれまでに①生体組織の脂質を除去する脱脂試薬、及び②生体組織の内部の屈折率を均一に調整する試薬を開発することで、脳組織を高度に透明化することに成功した。高速に3次元イメージングが可能なシート照明型蛍光顕微鏡を用いて観察することで、一細胞解像度の全脳丸ごとイメージング技術CUBICを確立した(Susaki et al., Cell, 2014)。また、開発した脱脂試薬が、生体組織において光吸収により光透過性を妨げる代表的な色素であるヘモグロビン中のヘムを高効率に溶出する性質を有していたことから、脳以外の組織も透明化できることを示し、臓器・全身丸ごとイメージング技術を実現した(Tainaka et al., Cell, 2014)。本技術は、核染色剤および蛍光標識抗体、もしくは蛍光タンパク質を発現するレポーターマウスを用いることで、主に細胞核や細胞内に発現しているタンパク質を可視化することができる。これらのシグナルを組み合わせてMRIにおける比較画像解析を適用することで、異なるサンプル間の同一細胞集団における遺伝子発現シグナルを直接比較することに成功した(Susaki et al., Cell, 2014; Susaki et al., Nat. Protoc., 2015)。また、臓器内の構造を三次元再構成することで、膵臓内のランゲルハンス島の包括的解析による糖尿病モデルマウスの3D病理解析や心臓における心室や心房、肺における気管支樹、腎臓における皮質・髄質・腎盂、肝臓における脈管構造などの3D解剖学を可能にした。本講演では、新たな透明化試薬の開発を通じた転移がんモデルマウスにおける定量的ながん解析系や、最先端の応用例について報告する。 |
連絡先 | 北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野 教授 村上正晃 札幌市北区北15条西7丁目 電話:011-706-5120 Email: murakami@igm.hokudai.ac.jp |
関連資料
2017.6.8-Dr.Tainaka_poster.pdf(87KB)