特別講演会のお知らせ【2017.7.26 山本 融 先生】(2017.06.28更新)
演題 | MDGAファミリー分子群によるシナプス過形成の抑制とその意義 |
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演者 | 山本 融 先生 |
所属 | 香川大学医学部 分子神経生物学 教授 |
日時 | 平成29年7月26日(水)17:00〜18:30 |
場所 | 北海道大学大学院 薬学研究院 臨床薬学講義室 |
主催 | 日本生化学会・北海道支部 |
概要 | 私たちの認知・思考・行動の基盤はシナプスを介した神経ネットワークにあり、シナプスの形成・維持が正しく制御されることは、脳の高次機能発現に極めて重要です。シナプス形成を正に制御する因子群については、シナプス前膜に発現するNeurexin(NRX)とシナプス後膜に発現するNeuroligin(NLGN)との相互作用を中心に多くの解析がなされてきていますが、シナプス形成を負に制御する機構とその分子的実態については、これまでほとんど明らかになってはいませんでした。私たちは、神経回路網形成機構を探る過程で見出した免疫グロブリンスーパーファミリーに属するGPIアンカー型の細胞外膜タンパク質であるMDGAファミリー分子群が、NRX-NLGN相互作用を阻害することによりシナプス形成を負に制御すること、また、MDGA1の欠失により抑制性シナプスの、また、MDGA2の欠失により興奮性シナプスの過形成が惹起されることにより、興奮性・抑制性シナプスの形成バランス(E/Iバランス)が崩れ、前者は統合失調症様の、後者は自閉スペクトラム症(ASD)様の行動異常が引き起こされることを明らかにしました。さらに後者のASD様症状の一部は成体への薬物投与により改善されたことから、こうした発達障害の少なくとも一部は成人においても投薬による改善が可能であることが示唆されました。 |
連絡先 |
北海道大学大学院 薬学研究院 神経科学研究室
鈴木 利治(011-706-3250)
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関連資料
2017.7.26-Dr.Yamamoto_poster.pdf(71KB)