講演会のお知らせ【2018.1.25 畠山昌則 先生】(2018.01.17更新)
演題 | ピロリ菌病原因子CagAの発がん活性を規定する分子多型とその構造基盤 |
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演者 |
畠山 昌則 先生
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所属 | 東京大学医学系研究科・微生物学分野 教授 |
日時 | 平成30年1月25日(木)16時〜 |
場所 |
北海道大学遺伝子病制御研究所5階セミナー室
(札幌市北区北15条西7丁目)
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主催 |
北海道大学遺伝子病制御研究所大学院医学院 |
共催 | 日本生化学会北海道支部 |
概要 | 病原タンパク質CagAを産生するピロリ菌の持続感染は胃がん発症に大きな役割を担う。ピロリ菌体内で産生されたCagAは、菌が保有す注射針様装置 (IV型分泌装置) を介して胃粘膜上皮細胞内に直接送達される。標的細胞内に侵入したCagAは細胞膜内面に付着するとともに、異常な足場 (Scaffold) タンパク質として機能し、様々なヒトタンパク質と相互作用することで細胞のがん化を促すと考えられている。CagAが示す発がん性の足場タンパク機能は、C末部位を構成する天然変性領域内に存在する2つのアミノ酸モチーフ、 Glu-Pro-Ile-Tyr-Ala (EPIYA) モチーフならびにCagA multimerization (CM)モチーフ、を介して発揮される。EPIYAモチーフはチロシンリン酸化依存的に発がん性ホスファターゼSHP2 と結合し、SHP2機能を脱制御する。一方、CMモチーフは極性制御キナーゼPAR1/MARKと結合し、そのキナーゼ活性を抑制することで上皮極性を破壊する。臨床単離される個々のピロリ菌株が産生するCagA分子種間には、これらモチーフを構成するアミノ酸配列ならびにモチーフの繰り返し数に多型が存在し、その質的・量的多型が胃がん発症と密接にリンクすることが明らかになってきた。本講演では、CagAの分子多型と発がん活性強度を繋ぐ構造生物学的特性に関する最新の知見を紹介する。 |
連絡先 | 上村大輔
北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野 |
関連資料
講演ポスター【2018.1.24 畠山昌則先生】(610KB)