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北海道支部について

特別講演会のお知らせ【2019.2.20 畠山 昌則 先生】(2019.02.05更新)

演題

ヒアルロン酸の分子サイズに依存したHippoシグナル制御機構

演者

畠山 昌則 教授

所属

東京大学大学院医学系研究科・医学部 微生物学分野・教授、
Max Planck統合炎症学センター副センター長

日時

2019年2月20日(水)16:00から(予定)

場所

北海道大学遺伝子病制御研究所5階セミナー室
(札幌市北区北15条西7丁目)

主催

北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野

共催

日本生化学会北海道支部、日本病理学会北海道支部

概要

細胞外マトリックスの主成分である高分子ヒアルロン酸は炎症・発がんに抑制的に働くのに対し、高分子ヒアルロン酸の分解産物である低分子ヒアルロン酸は炎症・発がん促進的に働くことが知られている。この分子サイズに依存したヒアルロン酸の相反する生物活性生成機構はこれまで不明であった。我々は最近、乳腺上皮細胞に高分子ヒアルロン酸を添加することにより、ヒアルロン酸受容体である CD44が細胞膜上でクラスター化すること、さらにクラスター化したCD44の細胞内ドメインに極性制御キナーゼPAR1bがリクルートされることを見出した。RAR1bは細胞質内でがん抑制性の細胞内シグナルとして知られるHippoシグナルのコアキナーゼ MSTと複合体を形成しMST活性を抑制しており、高分子ヒアルロン酸添加によるCD44ーPAR1b複合体形成はPAR1b-MST複合体の形成抑制を介してHippoシグナルを活性化することが明らかとなった。一方、低分子ヒアルロン酸は CD44をクラスター化できず、逆に高分子ヒアルロン酸による CD44のクラスター化を競合阻害するため、PAR1bによるHippoシグナル不活化が持続・増強することが明らかになった。トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は治療難治性で知られるが、中でも予後不良のTNBCではヒアルロン酸分解酵素であるHYAL2を高発現しており、高分子ヒアルロン酸の低分子ヒアルロン酸への分解促進によりHippoシグナルが持続的に抑制された状態にあることが判明した。この結果は、HYAL2を介したHippoシグナルの不活性化がTNBC悪性化に重要な役割を担っていることを示すと共に、HYAL2 が難治性 TNBCの重要な分子標的となることを示唆している。

連絡先

北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野 
札幌市北区北15条西7丁目
上村大輔
011-706-5120、kamimura@igm.hokudai.ac.jp

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