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北海道支部について

特別講演会のお知らせ【2019.10.25 小室 一成 先生】(2019.10.01更新)

演題

心不全発症の分子機序について - メカニカルストレス・老化・一細胞解析

演者

小室 一成 先生

所属

東京大学循環器内科・教授、日本循環器学会・代表理事

日時

2019年10月25日(金)17:00-

場所

北海道大学医学部学友会館フラテホール

主催

北海道大学遺伝子病制御研究所大学院医学院分子神経免疫学 世話人:村上正晃

共催

日本生化学会北海道支部

概要

我が国における心不全患者数は約100万人であり、すでに総人口が減少傾向にあるにもかかわらず少なくとも2035年までは増え続けると推定されている。心不全の治療は大変進んでいるものの、5年生存率は約60%程度であり、胃がんと同程度である。生存率が改善しない理由は、心不全の発症機序が未解明であり、病態に基づいた治療がなされていないからである。心不全の原因疾患としては、高血圧、虚血性心疾患、弁膜症、心筋症が知られているが、どれも心不全発症前に心肥大を呈する。心肥大は通常血行力学的な負荷、つまりメカニカルストレスによって惹起される一種の代償機序であり、心肥大という代償が破綻して心不全に移行することが問題である。我々は10年ほど前にその機序として細小血管レベルの虚血が重要であり、その原因としてがん抑制遺伝子のp53が関係することを報告した。またp53の発現は心筋細胞のDNA傷害により惹起され、p53を発現している心筋細胞は炎症性サイトカインを発現し老化していた。ヒトの不全心においてもDNA傷害が起こっており、それがpoint-of-no returnになり、治療反応性を規定していることも見出した。最近一細胞解析によって、マウスの心臓に圧負荷を加えると肥大心筋細胞から不全心筋細胞と代償性心筋細胞に分かれたが、その分岐点にもやはりp53が存在していた。

連絡先
北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野 

札幌市北区北15条西7丁目
上村大輔
011-706-5120、kamimura@igm.hokudai.ac.jp

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