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特別講演会のお知らせ【2023年2月17日 芳本 玲先生】(2023.02.14更新)

摂南大学農学部応用生物化学科 芳本 玲 博士による講演会を企画いたしました。
ノンコーディングRNAに関する興味深いお話が伺えるものと思います。直前連絡となりますが、ご都合つく方はぜひご参加ください。

演題

4.5SH RNAはマウスにおけるSINE B1の有害なエクソン化を抑えるノンコーディングRNAである

演者
芳本 玲 博士
所属

摂南大学農学部応用生物化学科

日時

令和5年2月17日(金)13時00分〜14時30分

場所

北海道大学低温科学研究所 講義室215(ハイブリッド形式、オンライン参加は下リンク参照)

 

共催

日本生化学会北海道支部

概要

4.5SHは小型・短命齧歯類特異的にユビキタスに発現する90塩基ほどの核内ノンコーディングRNAである。レポーター実験から4.5SHはアンチセンス鎖に挿入されたSINE B1(asSINE B1)と塩基対結合を形成することが示されているものの内在性のターゲットは未知であった。さらに4.5SH KOマウスを構築したところ、マウスは胚性致死となるため、生存に必須の機能があることが示唆された。そこでES細胞を樹立し、4.5SHの潜在的なRNAターゲットを探るべくRNA-Seq解析を行った。驚くべきことにKO細胞では、野生型に比べて約300遺伝子において、イントロン配列由来の偽エクソンが有意に出現していた。このエクソン配列はasSINE B1と完全に一致することから、4.5SHはイントロンに挿入されたasSINE B1に塩基対結合し、そのエクソン化を阻害する機能があると仮定した。4.5SHを発現しないヒトHEK293細胞と4.5SHとレポーター遺伝子を発現するベクターを用いて機能解析を行った結果、4.5SHにはasSINE B1に塩基対結合し、そのエクソン化を阻害するエレメントが存在することを示した。質量分析の結果、エクソン化の阻害にはRNA結合タンパク質であるhnRNP M/SFPQ/NONOの関与が強く疑われた。以上の結果から、齧歯類はイントロンに挿入されたasSINEのエクソン化を抑える方向で進化していったことが示唆された。その過程でasSINE B1のエクソン化を強力に阻害するノンコーディングRNAである4.5SH を獲得したと思われる。また、機能解析の過程で4.5SHを改変することで任意のエクソンのスプライシングを制御する新たな人工RNA分子としての可能性が示された。

連絡先

北海道大学低温科学研究所 冬眠代謝生理発達分野
山口良文
 

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